その4 おまとめローンの仕組みと注意点

1 おまとめローンの仕組み

最近、いろいろなメディアで、「おまとめローン」というサービスを耳にするようになりました。「おまとめローン」というのは、複数の金融機関からお金を借りている人のローンを一つの金融機関にまとめることをいいます。

たとえば、Bローン会社とCローン会社がAさんに対して、100万円を貸し付けていたとします。

Aさんが、Dローン会社の「おまとめローン」を利用して200万円を借り入れ、Bローン会社とCローン会社に返済すれば、Aさんは、Dローン会社に200万円を返せばよいことになります。

icon-hand-o-up この仕組みには、債務者(お金を借りている人)にとっても、金融機関にとってもメリットがあります。

icon-arrow-circle-right 債務者にとっては、いくつかの金融機関からの借入金を一つの金融機関にまとめることで、借入金の総額がはっきりするし、返済日も、その金融機関が指定する1回にまとめることができます。

たとえば、3つの金融機関からお金を借りていた人は、毎月3か所の金融機関にお金を返さなければなりません。これが、いわゆる自転車操業といわれる多重債務の原因ともなっていました。

画像4-1

icon-arrow-circle-right 一方で、金融機関にとっても、この仕組みにはメリットがあります。それは、おまとめローンを利用する債務者は、当然のことながら2か所以上の金融機関からお金を借りています(そうでなければ、まとめられるローンというものがありませんからね)。

これは、金融機関にとって、貸金の回収のリスクが高くなることを意味します。特に、金利の高い金融機関ばかりから借り入れをしている債務者は、自転車操業に近い借入を繰り返して身動きが取れなくなっている場合もあります。

おまとめローンによって、ある金融機関がそのリスクを全部引き受けてくれれば、債務者にお金を貸している他の金融機関にとってはありがたい話です。そして、金融機関には、もう一つ、グレーゾーン金利を固定するという隠れたメリットがあるのです。

2 グレーゾーン金利

グレーゾーン金利という言葉を、どこかで耳にされたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

グレーゾーン金利というのは、出資法の制限金利と利息制限法の上限金利の間の金利のことで、利息制限法の上限金利よりも高い金利を貸し付けることが違法とはいえないけれども、利息として支払いを求めることが違法となり得るという、あいまいな金利のことをいいます。

※現在では、法律が改正されて、グレーゾーン金利の問題は、ほぼ解決されました

前回お話しした2006年1月13日の最高裁判所の判決は、実は、グレーゾーン金利の取り扱いに関するものでした。最高裁判所は、グレーゾーン金利によって支払われた利息は、元本に充当されると判断しました。

icon-arrow-circle-right そのため、利息制限法の上限利息を超える金利を設けてお金を貸していた金融機関の中には、債権の回収どころか、債務者からの過払金の返還請求によって、逆に、債務者にお金を返さなければならない例もでてきました(前回の3の例をご覧ください)。

そこで、このようなおそれを抱いた金融機関の中には、過払金の返還を求められる前に、確実に債権を回収する方法として、おまとめローンを利用するものも出てきたわけです。

3 おまとめローンのわな

おまとめローンというのは、今までお金を貸してくれていた金融機関にお金を返すために、他の金融機関から借りたお金を充てるというものです。

もともとお金を貸してくれていた金融機関に対する債務は、借入金と利息を合計したものでしたが、これを返済するために、新たに別の金融機関からお金を借り入れるとすると、新たにお金を貸してくれる金融機関からの借入金の額が元本となるわけです。

さきほどの2006年1月13日の最高裁判所の判決を思い出してみましょう。最高裁判所は、「払いすぎた利息は返してもらえる」と判断したのですが、おまとめローンを経た途端、「払いすぎた利息」というものはなくなってしまいます。例を挙げてみましょう。

AさんがXローン会社に対して負っていた債務は100万円と、それに対する40%の利息だったとします。この場合、AさんのXローン会社に対する債務は、元本100万円と利息40万円の合計140万円となります。

仮に、AさんがXローン会社に140万円を支払っていたとすれば、Aさんは、Xローン会社に利息制限法の上限利息である15万円を超える利息の返還を求めることができます。

逆に、AさんがまだXローン会社にお金を返していなくても、Aさんは、元本100万円と、上限利息の15万円を合計した115万円を支払えばいいわけです。

画像4-3

icon-arrow-circle-right ところが、Aさんは、Yローン会社から140万円の融資を受けて、Xローン会社からの借入金を返してしまいました。

実際には、Aさんは115万円を払えばよかったので、25万円分損をしたことになるわけです。けれども、Aさんは、Yローン会社に25万円を返してくれということはできません。なぜなら、AさんがYローン会社から借り入れたのは、140万円の新たな借入金だからです。

おまとめローンは、複数の金融機関からお金を借りている人にとっては魅力的な仕組みです。けれども、実際に、いくら返済すればよいのかをきちんと計算しておかないと、意外なところで損失を蒙る可能性がある点で、注意が必要です。

このページの先頭へ