その3 利息制限法と過払金の取扱い

1 借入金の利息

「その1 お金を借りるとはどういうことか」の記事でも触れたように、お金を借りた場合であっても、法律上は、利息についての取り決めがなければ、原則として、借入金に対する利息を請求できないとされています。

利息についての取り決めには、利息の支払いの合意として、利率や単利か複利かといった取り決めが含まれます。では、利率について取り決めをすれば、いくらでも利息の支払いを求めることができるのでしょうか。次の例で考えてみましょう。

icon-angle-double-right Aさんは、Bローン会社との間で、弁済期(借金を最終的に返す日)を1年後として100万円を借りました。このとき、AさんとBローン会社との間で、借入金の元本(がんぽん・・・借金本体の額をいいます)に対して一か月あたり10%の利息、複利で請求できると取り決めたとします。

icon-arrow-circle-o-right この場合、翌月には、100万円の10%にあたる10万円が利息となります。複利とする取り決めがあるので、この10万円が元本に組み入れられて借入金の総額は110万円となります。

2か月後には、110万円に対する10%にあたる11万円が利息となり、借入金の総額は121万円・・・。これを繰り返すと、借入から1年後には、元本と利息を合わせた債務の総額は、およそ314万円に達するのです。

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2 利息の上限

お金を借りる人は、たいていの場合、手持ちの貯金で必要なお金を賄えないケースがほとんどですから、高い利息でも、仕方なくお金を借り入れてしまうことも少なくありません。

けれども、利率を言われても、それが、現実に積み重なったときの具体的な金額がピンとこないこともあるでしょう。

1万円を借りて「月に3%の利息」と言われ、具体的に「タバコ1箱分ですよ」などと例を挙げて説明されると、「安いな」と納得してしまうことだってあるかもしれません。

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icon-arrow-circle-right そこで、日本では、利息制限法という法律によって、次のように借入金に対する利息に上限を設けており、この上限を超える利息を無効としています。このように、利息についての取り決めには一定の制限が設けられているのです。

3 過払金の取り扱い

けれども、利息の取り決めが違法であっても、そのような利率が違法であることに気付かずに借入金に対する返済を続けてしまうこともあります。

たとえば、先ほどの例で、1万円に対する月3%の利息は、月額で300円(タバコ1箱分)で、このくらいの利息なら払えないわけではないと思う方もおられるかも知れません。しかし、この利率は、1年間だと3%の12か月分で39%、利息は3,900円に達することとなります。

利息制限法では、1万円の借入金に対する上限利率は20%ですから、年額2,000円を超える部分、1,900円分の利息は払い過ぎの額、いわゆる過払金(かばらいきん)となります。

本来、過払金に相当する利息は無効なのですが、既に支払ってしまった過払金はどのように扱われるのでしょうか。この問題について、最高裁判所は、2006年1月13日の判決で、過払金は元本に充当されるとしました。

icon-hand-o-up 仮に、先ほどのAさんの借金の例に当てはめて、元本に対する利息を10%としてこれを毎月支払い、1年後に元本100万円を弁済するという約定だったとすると、次のようになります。

100万円に対する利息の上限は、利息制限法では、元本が100万円以上の15%と定められていますから、一年間で15万円、一か月あたりだと1.25%(20%÷12か月)、金額にして12,500円となります。けれども、Aさんは、1か月後に10万円を支払いました。

icon-arrow-circle-o-right そうすると、10万円と12,500円の差額である87,500円が過払金となり、これが元本に充当されるので、元本の額は、100万円から87,500円を差し引いた912,500円となります。

2か月目には、元本が912,500円となっているので、100万円未満の元本に対する利率の上限は18%となり、一か月あたりだと1.5%(18%÷12か月)、額にすると13,688円となります。けれども、Aさんはまた10万円を支払いました。

icon-arrow-circle-o-right そうすると、13,688円との差額である86,312円が過払金となり、これがまた元本に充当されることとなります。従って、2か月目の利息を払い終えた後の元本は、912,500円から86,312円を差し引いた826,188円が元本となるのです。

これを繰り返していくと、11か月目には、元本が87,410円、これに対する利息は1,457円(10万円未満の元本に対する上限利息である年利20%を12か月で割った1.67%)となり、1年後に10万円を支払うと借金は完済されて、11,133円の過払いとなるのです。

 icon-arrow-circle-right ですから、Aさんは、なお100万円を支払う必要はないばかりか、逆にBローン会社に11,133円を返してくれるよう求めることができることになるわけです。
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icon-hand-o-right 最近、テレビなどでさかんに宣伝している「過払い金返還請求」というコマーシャルは、違法な高金利での支払いを求めていた金融業者に、いわれのないお金を支払っていた消費者が数多くいたことを物語っているのです。


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