クレジットカードの無断利用~実際にあった事例から

前回お話ししたように、家族の名義のクレジットカードを使って買い物をすると、多くの場合、その買い物は有効とされ、名義人本人に利用代金が請求されることになります。

icon-hand-o-up 今回は、過去に実際に起きた深刻な事例を若干アレンジして、ひとつ紹介します。北海道に住むAさんの妻であるBさんは、Aさん名義のクレジットカードをAさんに無断で使って、30万円もする化粧品を買いました。

Bさんは、店員さんに、「主人がこのカードを使っていいと言ってくれているので…」と告げ、店員さんもそれを信じて化粧品を売ったのでした。
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ところが、実際にはAさんは妻のBさんにそのようなことを許してはおらず、それどころか、AさんとBさんは日ごろから仲が悪くて、夫婦の間では口もきかない状態が続いていたのでした。

icon-arrow-circle-right 翌月、Aさんのクレジットカードの利用明細が送られてきましたが、Bさんは、Aさんに見つからないよう、これを勝手に処分してしまいました。Aさんは、利用明細が届かないことを、別に不審には思わなかったようです。

それというのも、Aさんは、普段、クレジットカードを使うことがまれで、クレジットカードの利用実績がなければ、利用明細が届かないことを知っていたからです。

一方、クレジット会社は、Aさんのクレジットカードの利用代金が決済されないので、何度か、督促状をAさんに送りました。しかし、Bさんは、督促状を受け取るたびに、それをそのまま勝手に処分し続けたのでした。

何度も督促状を出したのに、Aさんからの応答がなかったため、業を煮やしたクレジット会社は、Aさんを被告として、クレジットカード利用代金の支払を裁判所に申し立てたのです。

icon-arrow-circle-right ちょうどそのころ、Aさんは、会社の都合で、長期出張のため、東京に行くことになりました。

裁判所は、Aさんの自宅に裁判に必要な書類を送ろうとしましたが、Bさんは、Aさんが不在だと言ってこれを受け取らず、この書類は、Aさんの勤める会社に転送されましたが、様々な手違いがあって、東京にいるAさんのもとに届けられることはありませんでした。

しかし、裁判は予定通り始まり、法廷に出廷しなかったAさんは全面敗訴。クレジットカードの利用代金のほか、遅延損害金や裁判費用など、すべての損害を賠償するよう裁判所は判決を下したのです。(参考:最高裁第一小法廷判決平成10年9月10日判時1661号81頁)

icon-hand-o-up このように、クレジットカードの管理を怠ると、場合によっては、大変な責任を負わされることがあります。家族を疑えというわけではありませんが、トラブルが深刻になる前に、日ごろから注意をしておくに越したことはないのかもしれません。


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