日常の家事に関する債務の連帯責任

夫婦の財産関係の原則に対する例外のもう一つは、日常の家事に関する債務の連帯責任です。このような債務のことを、一般には「日常家事債務(にちじょうかじさいむ)」と呼ぶことがあります。
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日常家事債務が夫婦別産制の例外とされている理由は、このような夫婦の共同生活から生じた債務に対しては、夫婦が連帯して責任を負うべきとする考え方によるものです。

icon-hand-o-up 例えば、妻が、酒屋さんに電話をして、ビールを1ケース届けてくれるよう頼んだとします。酒屋さんが、ビールを届けたところ、たまたま外出先から帰宅した夫がこれを受け取りました。このとき、酒屋さんは、夫に、代金の支払を求めることができるでしょうか。

法律の原則に照らせば、酒屋さんにビールを注文したのは妻ですから、ビールの売買契約は、妻と酒屋さんとの間で交わされたと考えるべきです。

icon-arrow-right けれども、酒屋さんは、「あの家の奥さんから注文があった」と考えるわけで「あの女性から注文があった」とは考えませんよね。つまり、酒屋さんは、暗黙のうちに、その家族なり夫婦なりを代表して、酒屋さんに注文してきたのだと認識するのが自然です。

このように、夫婦の間では、こうした日常の家事によって生じた債務については、夫婦がそれぞれを代理して契約をするのが通常のあり方であるとして、法律は、日常家事債務については、夫婦で連帯責任を負うべきだと定めているのです。

そこで、どのようなものが日常家事に含まれるのかが問題となってきますが、これも、前回「婚姻費用の分担」で触れたように、夫婦のあり方によって異なってきます。

icon-hand-o-up 例えば、先ほどのビールの例で、もし、夫婦のいずれもが普段から全くお酒を飲まず、酒屋さんもそのことを知っていたならば、酒屋さんが届けたビールは、日常の家事に関して購入されたものとは言えない可能性があります。

icon-arrow-right また、夫婦が中古車販売の事業を営んでいるような場合には、中古車の仕入れが日常の家事として認められることもあるかもしれません。

地域の風習として祭日に餅を食べる慣例があれば、祭日に前もってもち米を購入することが日常家事に当たるとされる場合もあるでしょう。

このように、日常の家事とは、婚姻費用とは異なり、夫婦の職業や社会的地位、収入、財産の状況、地域の慣習などによって様々だといえ、個別の事案ごとの判断が必要となってくるのです。

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