法律が定める夫婦間の財産関係の原則

結婚して夫婦になると、その財産関係はどうなるのでしょうか。

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よく見られる例だと、専業主婦となった奥さんが、旦那さんの財布を握って、家計をやりくりするという感じで、夫と妻の財産はほとんど同じというか、むしろ妻が給料を総取りして財政を取り仕切るという財産関係となっているのではないでしょうか。

欧米諸国では、逆に、旦那さんが家計をやりくりする例も少なくないそうですが、いずれにしても、夫婦の一方が、すべての収入と支出を管理するというやり方は正しいのでしょうか。

実は、法律は、夫婦が一つの財布で生活を賄うことを予定していて、このような家計の管理の在り方が正しい姿なのです。というのも、夫婦のどちらのものかわからない財産は、夫婦が共有するものとされているからです。

icon-hand-o-up 例えば、外で働く夫が稼いできた給料が全額夫のものかというと、必ずしもそう言い切れるものではありません。妻には内助の功という寄与があり、夫が後顧の憂いなく外で働けるのは、奥さんの支えあってのことだからです。

icon-arrow-circle-right ですから、夫婦仲が悪くなって、専業主婦であった奥さんが夫に財産分与や慰謝料を請求できるのは、内助の功であっても一定の価値に換算できるからであって、もし内助の功が全くの無償の労働であるのなら、そもそも夫の給料に関しては財産分与など認める余地はないと言ってよいでしょう。

ここまで読まれて、「おやっ」とお気づきになられた方もおられるかもしれません。夫婦といえども、それぞれが個別に財産の権利を持っているというのが、今の法律の原則ではないのかと。

確かに、日本の法律では、「夫婦別産制(ふうふべっさんせい)」といって、夫婦がそれぞれ個別に固有の財産を持つのが原則とされています。

まず、結婚前からの財産については、どの財産が夫婦のどちらのものかについて、夫婦間で契約によって取り決めることができます。ただ、この契約は婚姻届を提出する前に登記する必要があるため、ほとんど利用されていません。

次に、結婚前の財産であっても、名義が決まっているものについては、そのまま名義人の財産とされます。また、結婚後であっても、特に、名義を決めて得た財産についても、その名義人の財産とすることができます。これを「特有財産(とくゆうざいさん)」といいます。

icon-hand-o-up 例えば、Aさんが、Bさんと結婚する前に持っていた分譲マンションをAさん名義で購入していたり、結婚後にAさんが、自分名義で分譲マンションを購入したりした場合には、そのマンションの所有権は、原則としてAさんのもとにあることとされるのです。

さて、このことを前提として、夫婦間での財産の問題がどのように展開していくのか、今回から10回にわたって見ていくことにしましょう。


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