お金を返してもらう(その8)-支払督促の注意点

1 意外と簡単な支払督促

前回説明したとおり、支払督促というのは、当事者の身元が分かっていて、しかも、お金の貸し借りの事実が比較的はっきりしている場合に利用できる手段です。
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本当にお金を借りている人が、お金を返さない間に督促状を受け取れば、その督促状の意味は明らかです。

icon-exclamation-triangle ところが、ごくたまに、お金を借りたり、買い物代金の支払いが滞ったりしていないにもかかわらず、支払督促が送りつけられることがあるのです。結論から言えば、支払督促は、詐欺の手段として用いられる場合があるのです。

2 知らないと怖い

例えば、詐欺師Xが、Aさんにお金を貸したという借用書を偽造して、裁判所書記官に支払督促を申し立てたとします。

icon-arrow-circle-right 支払督促という制度の趣旨によれば、書記官の審査は形式的なものにとどまりますから、督促状がAさんのもとに送り付けられることになります。

この督促状には、2週間以内に裁判所に異議を申し立てることができる旨の記載があるものの、これを読み飛ばしたり、読んだとしても、「大したことはないだろう」と多寡を括って放っておくかもしれません。

もとより、Aさんは、詐欺師Xからお金を借りた覚えもなれば、物を買った覚えもないので、放っておくことは無理もなないのかもしれません。

けれども、異議申立の期間である2週間を経過すると、Aさんの財産に対する強制執行がかけられるなど、大変なことにもなりかねないのです。

支払督促を申し立てる場合には、支払督促を申し立てる者の身元も明らかでなければならず、支払督促に対する異議が申し立てられたときは、通常の民事訴訟に移行するなど、督促を受けた人に対する制度上の保護も図られているのですが、残念ながら、上記のような詐欺を完全に防止することはできません。

icon-flash 詐欺師が、督促を取り下げると持ちかけて、法外な金品を巻き上げることだってあるのです。

このような事態を避けるために、身に覚えのない督促を受けた場合には、裁判所に異議を申し立てるのが最も正当な防御手段ですが、できるだけ早い段階で家族や警察に相談してアドバイスを得るなどの心がけが必要なのかもしれません。

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