お金を返してもらう(その5)-少額訴訟

1 少額訴訟とは何か

前回説明したように、通常の民事訴訟は、法廷でそれぞれの当事者が主張を戦わせて裁判官に判断を求める手続きであり、そのため相当の準備が必要となります。

画像3-5

弁護士を選任した場合には、その費用も自ら負担しなければならないため、返してもらうお金があまり高額ではない場合には、わざわざ訴訟によって取り返すという選択はしづらいものです。

icon-arrow-right こうした問題に対処するため、法律では、少額訴訟制度という簡易な手続きが定められています。

2 少額訴訟の活用

少額訴訟といえども、裁判には違いなく、訴状の提出も必要ですが、訴状は、裁判所が準備するひな形の空欄に必要な点を埋めていけば完成するようになっています。

そのうえで、請求する金額10万円ごとに1,000円の印紙を貼付して、郵便切手を添えて裁判所に提出することで、訴えの提起となります。

この制度を利用するためには、①支払いを求める金額が60万円以下であること、②被告の同意があることという二つの要件を満たす必要があります(「原告」、「被告」という用語の使い方については、前回説明しました)。

被告が、少額訴訟に拠らず、正式な裁判によることを望んだ場合には、少額訴訟という方法を利用することはできません。また、支払いを求める金額が60万円を超える場合には、140万円に満たない請求であっても、少額訴訟を利用することはできないのです。

icon-hand-o-up では、被告が、少額訴訟による裁判を拒否するのには、どのような理由が考えられるでしょうか。

まず、少額訴訟による場合には、原則として1回の審理で判決が下されますので、証拠関係に争いがあって、複雑な主張が展開されるような案件の場合には、正式な裁判によるほうが有利と考える場合があります。

また、少額訴訟では上訴(じょうそ、上級の裁判所に更に判断を仰ぐこと)ができませんから、この点でも正式な裁判を選ぶ動機にはなるかもしれません。

icon-arrow-circle-o-right しかし、少額訴訟では、法廷のように威圧的な雰囲気の場所で意見を述べるのではなく、裁判官や司法委員と同席するテーブルで、比較的和やかな雰囲気で意見の聴取がされるため、双方の当事者にとって心理的負担が軽くなるというメリットがあります。

上訴がされないという点も、争いが早々と決着するという点を踏まえれば、これもメリットと言えるかもしれません。

更に、通常、民事訴訟では、支払いを求める金額は一括払いが原則とされているところ、少額訴訟での判決は、支払方法についても分割にするのか、利息はどうかなど、和解手続きに近い判断が示される点でもメリットと言えるでしょう。

このページの先頭へ