お金を返す(その9)-この返済はどの借入の返済?

1 借入が複数ある場合

返済額が十分でない場合の中には、もう一つ、返したお金が、複数口の借入の合計額に満たない場合も考えられます。
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例えば、AさんがBさんから、異なる期日に60万円と40万円と20万円、合計120万円の借入をしていたとします。ある日、AさんがBさんのもとを訪れて、「借金を返しに来た」と言ってお金を置いていきました。

icon-arrow-circle-o-right このお金が120万円あれば、上の三口の借入金は、すべて返済されたことになりますが、もし、60万円しかなかったとすると、一体、どの借入の返済なのかは、Bさんにはわかりません。

更に、もし、これらの借入金に利息が付されているような場合には、前回解説した充当の優先順位も問題となってきます。

2 法律が定める充当の方法

このような場合、法律は、返済期限が来ているものから順に、お金を借りている人にとっての利益となるものから順に、返済期限が早いものから順に、そして借入額が多いものから順に充当するよう定めています。

icon-hand-o-up まず、「①返済期限が来ているものから順に」について説明します。上の例で、Aさんが60万円を持参したのが、60万円の借金の返済日だったとします。

けれども、40万円の借入と20万円の借入については、返済日がまだ来ていなかったのだとすると、Aさんが返しに来た60万円は、その日に返済日を迎える60万円に充当するということを意味します。

icon-hand-o-up 次に、「②お金を借りている人にとっての利益となるものから順に」という意味について説明します。

この場合の「利益」とは、人によって様々ですが、一般には、借入に、担保があるか、利息が付されているか、利率はどうか、借り入れた人本人単独の借入かどうかで判断されます。

例えば、借入に、土地や家などが担保設定されている場合、借入を返済しないとこれらの土地や家を失う可能性があります。

icon-arrow-circle-o-right 利息が付いている借入と付いていない借入とでは、付いている借入に返済を充てないと、お金を借りている人はより高い利息を払わなければなりません。もちろん、この場合には、利率の高い利息が付された借入から返済していくのが利益となります。

そして、借入を連帯している場合よりも、本人が単独で借り入れているものから返済していった方が、観念的には利益となります。

一方、お金を貸している人にとっても、返されたお金がどの借入に対する物なのかをはっきりさせておくことは、例えば、借入金の債権の消滅時効が近づいているような場合に重要な意味を持ってくるのです。

icon-hand-o-up 第三に、「③返済期限が早いものから順に」というのは、①の場合と異なり、借入の返済期限が到来している場合の先後を比較するものです。返済期限が先に来ている借入に対する損害賠償がふくらんでいくことから、これを先に充当していくという考え方だと言えます。

icon-hand-o-up 最後に、「④借入額が多いものから順に」というのは、借入元本から生じる利息が大きいものから先に返済していこうというものです。

このように、法律は、お金を貸した人の利益をも確保しながら、お金を借りている人にとって、最も妥当な返済方法を細かく指示して求めているのです。

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