お金を返す(その5)-お金を受け取ってもらえない!?

1 お金を受け取ってもらう努力

お金を返そうとしても、相手が受け取ってくれないことがあります。

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例えば、AさんがBさんに、借りていた10万円を返しに行ったところ、Bさんが、「貸したのは20万円のはずだ」とか「利息も一緒に払え」などと言って受け取りを拒んだり、「お札が汚い」などと難癖をつけてお金を受け取らなかった例も、過去にはあるのです。

また、お金を手渡しで返す約束をしていたのに、たまたまその日に相手が不在だったりする場合にも、お金を受け取ってもらえないということが起こり得ます。

このような場合、お金を借りている人は、相手がお金を受け取ってくれないのだから、お金を返さずに放っておいても良いものなのでしょうか…。

icon-arrow-right いいえ、法律は、一応、お金を借りている人に、お金を返す努力を求めています。

icon-hand-o-up 「お金を返す(その1)-お金の返し方」でも触れたように、お金を返す場合には、お金を借りている人が、お金を貸している人のところに持参して返すのが原則です。

例えば、AさんがBさんから借りている10万円を、○月×日に、Bさんの家で返すという約束をしていた場合、その日にAさんは10万円をそろえてBさん宅に届けなければ、お金を「返そうとした」ことにはならないのです。

icon-hand-o-up ただ、この考え方は必ずしも厳密ではなく、そのときどきの状況に応じて合理的に判断されます。

例えば、仮に、返済するお金を入れた封筒の中の千円札が1枚足りず、9万9千円しかなかった場合であれば、一応、「返そうとした」ものと考えられますが、1万円札が1枚足りず、9万円しか入っていなければ、「返そうとした」とは言えないと判断される可能性はあるでしょう。

逆に、10万円返せばよいのに、20万円を持って行ったような場合も、一般には、やはり「返そうとした」とは言えないと考えられています。

これに対して、お金を貸した人が、借りている人のところに取り立てに来るという約束の場合には、その日に返すお金を準備して、「取りに来るよう」伝えるだけで、「返そうとした」ことになります。

2 「返そうとした」ならどうなるのか

お金を借りている人が、「返そうとした」と認められると、どういう効果があるのでしょうか。法律上は、これによって、お金を返さないことによる損害賠償責任が発生しないと考えられています。

例えば、Aさんが、借りていた10万円をBさんに返さなかったとします。そうすると、本来は、年利5%(商事であれば6%)の遅延損害が発生することになるはずなのですが、Aさんが、お金を「返そうとした」のにBさんが受け取ってくれない場合には、この遅延損害は発生しないのです。

しかし、遅延損害金が課されなくても、お金を借りたままにしておくと利息は発生するし、特に、支払おうとしたお金が家賃などの場合には、支払わずに放っておくと、賃貸借契約が解除されたりしてしまいます。

icon-arrow-circle-right そこで、法律は、「供託」(きょうたく)という制度を設けているのですが、詳細については、次回「お金を返す(その6)-供託とその方法」で解説します。


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