お金を返す(その4)-代物弁済

1 「物」で返す

お金を貸してくれた人が、お金の代わりに、「何か他の物で返してくれてもいいよ」と言ってくれる場合があります。この場合には、その「物」を渡して、借入金の返済の代わりにすることも可能です。これを「代物弁済(だいぶつべんさい)」といいます。

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icon-hand-o-up 代物弁済は、物の価値が借入金と見合っていない場合であってもかまわないとされています。

例えば、AさんがBさんから借り入れた100万円の借金に対して、AさんがBさんに50万円のダイヤの指輪を返したとしても、Bさんが、「それでよい」と言えば、100万円の借金は帳消しになるのです。

物の価値は人それぞれなので、物で返してもらう側が、その物に、貸したお金の金額に見合った価値を見出しているのであれば、当事者の合意を尊重しようというのが、この制度の趣旨です。

icon-arrow-circle-right ところが、この制度は、その趣旨から外れて、逆に、立場の弱い借り手から、高額な代品を巻き上げる手段として使われることが少なくありませんでした。

例えば、AさんがBさんから借りていた1000万円の返済のため、代物弁済としてAさん名義の時価2000万円の土地をBさんに引き渡したとします。

代物弁済では、借りたお金の金額と物の代金とが見合っていなくても良いので、原則としては、こうした弁済だって有効なはずです。

もちろん、相続税など税負担の問題や、それまでのAさんとBさんとの関係など、様々な事情から双方合意の上こうしたことがおこなわれたのであれば問題はないのです。

しかし、逆に、貸し手があらかじめ高金利でお金を貸し付けて、返済能力の乏しい借り手が返済できない場合に、高額な不動産を巻き上げる手段として代物弁済が悪用されてきたのです。そこで、現在では、法律で、一定の規制がかけられることになりました。

2 仮登記担保法

具体的には、仮登記担保(かりとうきたんぽ)法という法律で、仮登記や仮登録ができる物や権利を仮登記しておき、借入金の返済が滞った場合には、借入金と仮登記・仮登録された物の値段との差額を清算して、借入金の返済に充てるというものです。

icon-hand-o-up 例えば、先ほどの例では、具体的に次のような流れになります。

まず、AさんがBさんから1000万円を借りたところ、Bさんは、Aさんの持っている時価2000万円の土地について、「借入金を返さないときは、この土地を代物弁済に充てる」という仮登記をしておくのです。

ところが、AさんがBさんに500万円を返した時点で、それ以上の返済ができなくなったとします。そうすると、Aさんの借入金は、あと500万円残っている状態ですね。

icon-arrow-circle-right そこで、Bさんは、代物弁済によって借金を帳消しにするとともに、土地の時価2000万円と借入金残額の500万円の差額である1500万円をAさんに支払って、仮登記を本登記に改めることができるのです。

この清算は、ほんの僅かな金額であっても義務として課せられており、清算しないという特約は無効とされています。ただ、仮登記担保法では、逆に物の値段の方が安い場合には、借金は帳消しにならないとしており、この点が代物弁済とは異なる点です。

例えば、AさんがBさんから1000万円を借りて、Aさんの持っている時価2000万円の土地を代物弁済する仮登記がなされたところ、急に景気が悪くなって土地の値段が暴落し、時価900万円となったとします。

Aさんが1000万円を返さなかったときは、この土地を代物弁済することになるのですが、土地の値段は、借入金の金額にあと100万円足りません。

代物弁済は、このような場合にも、借金の帳消しの効果を認めていたのですが、仮登記担保法では、物の値段に足りない場合には、その足りない額の借金は引き続き残るものとされました。

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