お金を借りる(その5)-賠償額の予定と上限利息

1 賠償額の予定とは?

2回にわたって、借入金を返さない場合の遅延損害金のことを取り上げましたが、もう一つ、遅延損害金については、「賠償額の予定」という制度があります。今回は、この点について説明していきたいと思います。

賠償額の予定というのは、お金を貸し借りするときに、文字通り、「お金を返さなかったら、○○円の違約金を払ってもらいますよ」というような取り決めをあらかじめおこなっておくことをいいます。

icon-hand-o-up 賠償額の予定によって取り決められる違約金は、かなりの高額になる傾向があります。

2 借り手に厳しい「賠償額の予定」

一般的な遅延損害金は、お金を返さないまま放っておくと、一定の利率に応じてだんだんと賠償額が積み重なっていくものとなります。

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しかし、賠償額の予定は、返済が滞ると、直ちに、予定された金額の支払を求められることになるもので、お金を借りている人に対する制裁としては、より厳しいものと言えるでしょう。

icon-arrow-circle-right しかと、賠償額の予定がなされるのは、そのような厳しい条件であっても、借り入れをせざるを得ないほど、借り手が貸し手に対して弱い立場にあることが少なくありません。

しかも、賠償額の予定は、お金を貸し借りする人の間で取り決められた約束事であるため、裁判所がこの予定額を増減することは原則として認められていません。

icon-hand-o-up そこで、裁判所は、賠償額の予定がなされた場合であっても、一定額を超える違約金の取り決めについて無効とする判断を示しました(お金を借りる(その3)-約定利率と損害賠償で取り上げた最判昭和43年7月17日民集22巻7号1505頁)。

この「一定額」は、利息制限法という法律を基準に判断されます。利息制限法では、元本の額によって上限利息に制限を設けており、その上限利率の1.46倍にあたる額でを超えた賠償額の予定は、超過部分について無効とされているのです。

3 ちなみに・・・

この「1.46倍」という、やや中途半端な数字が定められたのには、出資法という法律が関係しています。出資法では、元本に対して29.2%を超える利率でお金を貸した者に刑事罰を科しています。

icon-hand-o-up そして、この29.2%を、利息制限法の上限利率である20%で割った1.46という数字が導かれるのです。

従って、例えば、AさんがBさんから1年間の期間を切って5万円を借り入れ、返済期日に5万円を返済しなければ違約金として、更に5万円を支払う取り決めをしたとします。

そのようにしたとしても、この違約金は、5万円に対する上限利率20%にあたる1万円の1.46倍にあたる1万4,600円を3万5,400円超過しているため、この3万5,400円につき無効となるわけです。

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