お金を借りる(その4)-単利の原則と法定複利

1 法律が定める利息計算の方法

前回、「お金を借りる(その3)-約定利率と損害賠償」で、Aさんが、Bさんから期間を1年間、年利10%の利息を付ける約束で1000万円を借りた場合を例に挙げました。

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このケースだと、約定利息は法定利率(民事で5%、商事で6%)を上回る10%なので、遅延損害金の計算も、元本に対して年利10%で計算することになるという点については、前回説明しました。

icon-hand-o-up そうすると、Aさんは、そのままお金を返さなくても、当初の約束のままお金を借り続けるのと同じことになるという点についても、前回の最後で触れたとおりです。これに対して、Bさんは、黙っていなければならないのでしょうか。

この点について法律は、利息を元本に組み入れることができるとする法定複利(法定重利)の制度を設けています。実は、日本の法律では、元本に対する利息は単利を原則としているとされています。

icon-arrow-circle-right 単利というのは、借入金に対して、一定の利息を付すという考え方で、元本の額は変わりません。これに対して、複利というのは、元本に対する利息を元本に加算して、これに対する利息を付するものですから、元本の額は増え続けることになります。

icon-arrow-circle-right 法定複利というのは、お金を借りた人が利息を支払わず、その未払の利息が1年以上たまった場合には、一定の要件のもとで、その利息を元本に加算して、その総額を元本とすることができるとする制度です。

2 返さないとどうなるのか

前回の例だと、BさんはAさんに、「せめて利息だけでも払ってくれよ」と要求することができます。

それでもなおAさんが利息を払ってくれないまま1年分の利息が滞納されたときは、Bさんは、未払の利息を元本に組み入れて、元本を1100万円として遅延損害金を計算することができることになるのです。

icon-arrow-circle-o-right そうすると、Aさんが、借入金を返すべき日からなお1年間お金を返さなかった場合の借入金の総額は、元本1000万円に対する年利10%の利息を加えた合計1100万円に対して、遅延損害金を年利10%の割合で加算した1210万円となり、当初の借入の条件に従って借り入れた場合よりも、10万円も余計に返さなければならなくなるわけです。

日本の法律では、「お金を返してくれ」と裁判で訴えられたときに、お金を返さない人の弁解が認められる余地はほとんどありませんから、Bさんに訴えられたAさんは全面敗訴して、家や土地などめぼしい財産を差し押さえられてしまうことにもなりかねません。

icon-hand-o-up なお、余談ですが、最近では、金銭消費貸借契約書のひな形などがインターネットを通じて簡単にダウンロードできるようになっていますが、利息の取り決めのほかに、必ず遅延損害金の約定が記載されています。

その割合は、元本に対して年利14%~18%程度とかなりの高率です。お金を借りたときには、契約書に書かれている遅延損害金についての条項だけでも、ざっと目を通しておくのが良いかも知れません。

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